ある日常 2

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 郷田は土日、公休日だ。朝、一緒に食事をし、掃除と洗濯をしてくれる。  昼は店にきて食事をし、後片付けを手伝う。  午後からは二人の時間となり、家でまったりと過ごすことが多いのだが、今日は買い物に出かけなければいけない。 「明日でしたね。ゲートボールの試合」  近所の公園で沖の祖母であるトメがゲートボールをしている。  明日は孫たちと一緒にゲートボールをするらしく、お弁当を頼まれた。 「えっと二十人プラス、三人前かな。河北さんも応援しにくるって」  ゲートボールに付き合ってくれる孫は五人。付き添いのお母さんが五人。トメの仲間が十人だ。  子供にはハンバーグ弁当、大人は幕の内弁当にする。  幕の内弁当は、俵型の握り飯と数種類のおかずを詰め合わせたもので、芝居の幕間に食べる弁当として考案されたそうだ。 「蒲鉾は買うとして、黒豆と蓮根のきんぴらをばぁちゃんが作ってくれるって。カリカリ梅はあるし、卵も大丈夫。エビと豚挽肉、鮭の切り身、レタスを買えば、後は家にあるので足りるね。あと、お弁当の容器」 「わかりました。それじゃ行きましょう」  二人で暮らすようになって、中古の軽自動車を購入した。沖は免許を取得したがペーパードライバーで、運転は郷田の役目だ。 「助かるなぁ」 「役に立てて嬉しいです」  沖のために何かするのが嬉しいようで、この頃はお願いするようになった。
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