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幼馴染よ。私に呪いを移すな。
単なる“幼馴染”という関係でしかない私を突然抱き締めた颯太。驚いて振りほどこうとすると、よりきつく拘束されてしまった。
『……5分だけでいい。俺から逃げないで』
切羽詰まった颯太の声。彼の心音が伝わり私まで妙に緊張してしまう。
「颯太、一体どうしたの? こんな事するキャラじゃないでしょ?」
颯太らしくない言動に、嫌な予感がする。
これは多分、厄介な事に巻き込まれたに違いない。
○
颯太とは幼稚園から高校までずっと同じクラスという不思議な縁がある幼馴染だ。
生まれつき色素が薄く琥珀色の瞳を持つ彼は、日本人離れした容姿のせいか、とにかく目立つ男だった。
電車やカフェで見知らぬ女の子に告白されたり、繁華街を歩くだけでスカウトされるのは日常茶飯事。しかし彼はそういった事に興味がなく、男友達との遊びを優先させるタイプ。
唯一、私だけが彼と親密な女子……といえば聞こえがいいが、少女マンガのような展開にならない事を私自身死ぬほど理解している。
なぜなら颯太は、類稀な美貌に反して中身は小学生以下なのだ。
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