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「またね!」
少し離れた所から、どこかスッキリとした笑顔を浮かべたエリがブンブンと大きく手を振る。
__また。
それは別れの言葉じゃない。
また会う約束の言葉。
……そうだ。
俺達にとっての別れは、物理的に離れることではない。
この関係が壊れることだった。
俺は左手でキラキラと輝く指輪から、今度は目を背けずに笑顔で手を上げ合図を送る。
「またな!」
__大丈夫。
俺達は、どこへいこうと変わらない。
近くて遠いようでやっぱり一番近い幼馴染み。
__その関係は不変だ。
最後に遠くから二人顔を見合せ笑い合うと、俺達は同時に背を向ける。
もう、見送ることはやめた。
__俺にとっても今日が、新しい門出の日だから。
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