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 また虹色のゴキブリが天井を横切った。今日も私は欲望の紛争地帯で体に向かってくる手や顔を振り払っている。でも昨日までの私とは違う。美しい幸福感が持続する秘密の快楽を知った。この先しばらくは大丈夫。私は生まれ変わったから。孤独の重力にも耐えられる。  悔しいけどギンにはちょっと感謝してる。今度会ったらジュースでも奢ってあげよう。  横に座る半分妖怪みたいなジジイが腰に手を伸ばし私の紐パンを引っ張った。  決めた。私は自分らしい生き様を貫く。寿命が短ろうが知ったことか。この戦地を無双しながら羽ばたく毒蝶になる。モエシャンの瓶を掴んで逆さに持った。  糞溜めみたいな場所でどんなに堕ちても。きっと引き上げてくれる。  あの時、枕元で囁かれた言葉がきっと。 「ハッピーバースデー」
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