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久しぶりの地元。
電車から降り立つと目の前には大自然。
秘境駅と呼んでマニアが写真を撮りに訪れるようなホーム。
ふわりと吹く風が、お帰りと言ってくれているような気がした。
無人駅の改札にチケットを通し、駅を後にする。
実家まで少し歩く。
迎えを頼めばよかったが、なんだか歩きたい気分だった。
あぜ道をゆっくりと歩く。
あの喧騒とした都会とは真逆。
解放感と静けさと緑で満たされている。
まだ薄氷(うすらい)が覆う池は、春なのに気温の低さを告げていた。
久しく見る、砂利が敷かれた庭。
外には洗濯物が干されており、時折風で揺れる。
ゆっくりと実家の敷地に足を踏み入れる。
冷たい井戸の水で野菜を洗う爺ちゃんの姿が見えた。
久しぶりに見る爺ちゃんは、以前より少し痩せて見えた。
懐かしい光景、少し鼻の奥がつんとした。
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