5人が本棚に入れています
本棚に追加
人口300人にも満たない小さな村。
その村を見渡せる高台へ登る。
おもいっきり深呼吸をし、村を見下ろす。
ピンクや白のコントラストがよく映える。
この風景を映像に残したいと思い、スマートホンを手に取りカメラを起動する。
ゆっくりと右から左へ、動画を撮る。
ちょうど村の切れ端まで来たところで高台に咲いている枝垂桜が揺れる。
風に揺られながら髪の毛を耳にかける君。
久しぶりに見た君は、いくばか身長が伸び、大人びていた。
ゆっくりとスマホをおろし、歩き出す。
まっ白な肌をした君は綺麗だった。
2人で高台のベンチに腰を掛ける。
あの別れを告げた日と同じように。
空いた隙間を埋めるように、この5年間の出来事を話した。
君は黙って聞いてくれた。
時折笑顔を見せ、その笑顔はあの頃と全く変わっていなかった。
時間も忘れ、話しこんでしまった。
本題に入らなきゃ。
最初のコメントを投稿しよう!