ハロウィンレポート

狂気の選択

一

　その晩、女は契約する悪魔を選んだ。

　『１３日の金曜日』のジェイソン・ボーヒーズ『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガー『悪魔のいけにえ』のババ・ソーヤーに『ＩＴ』の殺人ピエロ、ペニー・ワイズも魅力的だ。

『プレデター』シリーズのプレデリアンも格好いいし『エイリアン』シリーズの、エイリアン・クイーンもまた格好いい。

『スーサイド・スクワッド』ハーレークインも本当はしてみたいけど、映画のヒットから女性仮装率はかなり高い。

『スクリーム』シリーズのゴーストマスクはどうか。いやよそう『最凶絶叫計画』シリーズの影響でどこか間抜けな印象が抜けないキャラクターだ。

ハロウィンで仮装するからには、細部にも拘りたい『スクリーム』のゴーストマスクでするなら、クイズ形式の犯行予告は外せない。

『ホラー映画は好きか？』って奴だ。

そもそも好きではないとか、電話出たひとが詳しすぎたら、身も蓋もなくなってしまう。他に良い仮装はないだろうか、と女は店内を見回した。

生気を失った死人のような白い顔に、傷が付いた仮面がふいに目に止まる。

『ハロウィン』の殺人鬼ブギーマン、ことマイケル・マイヤーズが劇中で身に付けていた仮面だ。ハロウィンなのに、どうしてみんなこの仮面をしないのか、疑問に思いながらもそれを手にとり、レジに向かう。