狂気の選択

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六  「去年のハロウィンが、そんなに気にいらなかったのか、メンバーのみんな」  部屋の中、八本松千尋はハロウィンの飾り付けをしながら呟いた。 瀬戸海ひかりは、まだ仮装が決まらない。港町はるみも、仮装が未定。御堂幸一は決まった。室崎俊一は来れない。唯一やる気満々な返事をよこして来たのが、川原石義治一人だけだ。 やはり、去年のハロウィンで『ムカデ人間』や『ミスタータスク』の仮装をさせたのが相当答えたのかも知れない。 「今年はみんなが好きな仮装をしてこよう」 と瀬戸海がいうと「賛成っ!」とやる気を見せるや「八本松会長も仮装するように」と意見が出た。 今年は自分の家でやろうというなら、こちらにも考えがある。家ごと仮装するという方法だ。 ホラーにPOVという手法を取り入れた、モキュメンタリー『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ風に、自宅をお化け屋敷にして、自分は悪霊にとり憑かれた女性の二段仕込みの仮装にする。  「照明が点滅し、扉がひとりでに閉まる。仮装のフィニッシュに私が演技を始める」  蛍光灯を付け交えながら、祥子は計画を反芻する。
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