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三
やはり、安浦を呼んでおいて正解だった。
いたずらを練り直してみて気付く。家の中のものを動かすには、もう一人にんげんの手が必要だということ。
その報酬に、最高のハロウィンレポートを書く手伝いをするのだ。
祥子は頭の中で、いたずらの計画を反芻すると、ほくそ笑みながら、冷蔵庫に向かうと、缶ビールを一本取り出し、プルタブをぷしゅりと開ける。
去年のハロウィンパーティーの、雪辱を晴らす今年のハロウィンの、前祝いに一口ぐびりと喉元に流し込む。
「もう少し、煮詰めてみようかな?」
川原石はこういうのは嫌がるが、本物の悪魔が憑依したと思いこめば、どういうリアクションをとるのだろう。瀬戸海なら、クオリティーで負けたと嫉妬するかもしれない。室崎は本当にあったことだと喜ぶだろうな。
そこに、憑依されたにんげんが、家の中で連続殺人を繰り出したなら、全員どうするのか見てみたい。
ミステリー映画みたく、探偵気取りで、自信満々に推理を展開するメンバーが現れるかもしれないし、犯人はお前だと言い出すかもしれない。
端からみたら、きっとすごく面白いだろうなと八本松は笑いそうになった。
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