ハロウィンレポート

狂気の選択

五

　どいつもこいつも、殺人鬼や犯罪者がヒーローだ。

人を殺すにんげんが、英雄にされるのはやはり納得がいかない。ヒーローは何時の時代も弱気を助け、強気をくじく、勧善懲悪の象徴なのが本当のヒーローだと思う。

ハイテクマシンで強敵と戦う社長『アイアンマン』や蜘蛛の巣でＮＹを駆ける英雄『スパイダーマン』それからパワフルな『インクレディブル・ハルク』や魔法使い『ドクターストレンジ』にワカンダの黒豹王子『ブラックパンサー』なんといっても、そんなヒーローたちが集う『アヴェンジャーズ』が一番好きだ。

『スパイダーマン』の仮装は『スーサイド・スクワッド』のジョーカーとハーレークインの次に人気だから、ベタベタだと言われそうだ。そう思ったが、その心配は、即座になくなった。

　「もう売り切れたのか？」

　ジョーカーの緑色の髪や、ハーレークインのポニーテールは既に売り切れ、スパイダーマンのマスクも品切れになっている。

　「バットマン＆ロビンも」

　やはり売れ筋らしい。と川原石義治は項垂れた。変わりに目に止まったのは消防士の耐火服のような『ゴーストバスターズ』の衣装だった。

ハロウィンパーティーの仮装は、ほとんどがお化けか悪役のキャラクターだろう。それなら『ゴーストバスターズ』になりきってお化け退治してやるのも、ヒーローらしい、ハロウィンの仮装になるだろう。と川原石は深く頷く。