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「で? どうすんのよ。」
出来たての鳥串を頬張りながら大して興味もなさそうに友人が言った。
「うん…。仕方ないし…。
働いてた以上私達にも責任はあるし…。
とりあえず明日から職探しするつもり 」
入ってすぐに出された冷めたお通しを箸でつつきながら、佳乃はボソボソと答えた。
「ふーん、また出版社で探すの?
あんたのやりたいこと考えたら、出版関係で探さないと後がきつくなるでしょ。
年齢的にもさ。」
大友優希は、ぶっきらぼうな物言いだが、佳乃の将来の夢も理解し、相変わらず気取らない高校時代の空気のまま一緒にいられる唯一の女友達だ。
「出版関係から探そうとは思ってるけど、出版社ってすごく入るのむずかしいんだよ。
この会社だって、助教授の紹介なかったら出会えてなかったし…。
もちろん将来は絵本作家になりたいけどね! それは変わらないけど… 」
本日倒産した"元"佳乃の職場の出版社は、社長が立ち上げた小さな小さな出版社だった。
大学の文学部の助教授に、作家になりたいなら就職先にどうかと誘われたのだ。
あまりに小さい会社なのと、扱っている書籍の作風が全く好みに合っていなかったのもあり、最初はお断りしていたのだが、社長自ら出向かれ頭を下げられ、こんこんと出版に対する情熱と、私に対する期待を語られてしまった。
今考えれば、立て続けに新卒が入って来なかったのと、その年の新卒入社にも全く目処が立たなかった為、一番簡単に籠絡できそうな佳乃に白羽の矢が立ったのだろう。
まんまと彼らの思い通りになってしまったのだが。
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