キング・フロッグの憂鬱

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キング・フロッグの憂鬱

  a6c505fd-1b9c-4f4f-b76c-5d3e83f6442f  ある城のほとりの森の中に、それほど小さくはなく、かと言ってそれほど大きくもない沼がありました。  その沼の真ん中にある大きな岩のてっぺんに、だらりと垂らした長い足に頬づえをついて座ったキング・フロッグは、彼のトレードマークであるお気に入りの王冠をかぶり、いつものように、長い間考え事にふけっていました。  鯉が近づいて来て、たずねました。 「キング・フロッグ、何を考えているのですか?」  キング・フロッグはちらりと鯉を見やって、ため息をつきました。 「そなたに話したところで、私の悩みがわかるはずもない」  鯉はあきれて、くるりと背中を見せると、尾びれでぴしゃりと水を打って、行ってしまいました。  美しい蝶がひらりひらりとやって来て、キング・フロッグに話しかけました。 「ねぇ、キング・フロッグ。一緒に遊びましょうよ」  キング・フロッグは首を振りました。 「そなたに私の万分の一でも知恵があればね」  蝶は怒って激しく(はね)を震わせると、さっさと飛び去って行きました。 「あぁ、私ほど不幸なものはいない」  キング・フロッグは悲しげに大きなため息をつきました。そのとき、沼の底からぼこぼこと大きな泡がたち、巨大なナマズが顔を出しました。
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