43人が本棚に入れています
本棚に追加
キング・フロッグの憂鬱
ある城のほとりの森の中に、それほど小さくはなく、かと言ってそれほど大きくもない沼がありました。
その沼の真ん中にある大きな岩のてっぺんに、だらりと垂らした長い足に頬づえをついて座ったキング・フロッグは、彼のトレードマークであるお気に入りの王冠をかぶり、いつものように、長い間考え事にふけっていました。
鯉が近づいて来て、たずねました。
「キング・フロッグ、何を考えているのですか?」
キング・フロッグはちらりと鯉を見やって、ため息をつきました。
「そなたに話したところで、私の悩みがわかるはずもない」
鯉はあきれて、くるりと背中を見せると、尾びれでぴしゃりと水を打って、行ってしまいました。
美しい蝶がひらりひらりとやって来て、キング・フロッグに話しかけました。
「ねぇ、キング・フロッグ。一緒に遊びましょうよ」
キング・フロッグは首を振りました。
「そなたに私の万分の一でも知恵があればね」
蝶は怒って激しく翅を震わせると、さっさと飛び去って行きました。
「あぁ、私ほど不幸なものはいない」
キング・フロッグは悲しげに大きなため息をつきました。そのとき、沼の底からぼこぼこと大きな泡がたち、巨大なナマズが顔を出しました。
最初のコメントを投稿しよう!