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バタンとドアのしまる音よりも早くベッドに飛びこんだあとは、膝をかかえて丸くなった。ぼろぼろ涙をこぼして、鼻を何回もすすった。
どのくらいそうしていたのか、わからない。やっと気持ちも落ち着いたとき、ミコちゃんが鼻息も荒くドアを開けた。
「サトくん。おばあちゃんをだますなんて、やりすぎなんじゃない」
あわてておき上がるぼくにはおかまいなしに、首すじまで赤くして迫ってくる。
「ほら、なんとか言いなさいよ」
ぐっと顔を近づけて、上まぶたごしににらみつける目があんまりにもこわくって、ぼくの涙は引っこんだ。
「ごめんなさい。だれもミコちゃんの秘密を教えてくれなくて」
「もーう。しばらくおしゃべりしない」
ええ、ミコちゃん、いつまでお話しできないの?
また胸が苦しくなって、目がうるんできた。ぷいっと勢いよくターンして見せた背中が、ぼんやりにじんでゆれていた。
そして気まずい晩ごはんの席で、あさってまではおしゃべりしないと告げられたんだ。
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