ミコちゃんのひみつ

7/10
前へ
/10ページ
次へ
 バタンとドアのしまる音よりも早くベッドに飛びこんだあとは、膝をかかえて丸くなった。ぼろぼろ涙をこぼして、鼻を何回もすすった。  どのくらいそうしていたのか、わからない。やっと気持ちも落ち着いたとき、ミコちゃんが鼻息も荒くドアを開けた。 「サトくん。おばあちゃんをだますなんて、やりすぎなんじゃない」  あわてておき上がるぼくにはおかまいなしに、首すじまで赤くして迫ってくる。 「ほら、なんとか言いなさいよ」  ぐっと顔を近づけて、上まぶたごしににらみつける目があんまりにもこわくって、ぼくの涙は引っこんだ。 「ごめんなさい。だれもミコちゃんの秘密を教えてくれなくて」 「もーう。しばらくおしゃべりしない」  ええ、ミコちゃん、いつまでお話しできないの?   また胸が苦しくなって、目がうるんできた。ぷいっと勢いよくターンして見せた背中が、ぼんやりにじんでゆれていた。  そして気まずい晩ごはんの席で、あさってまではおしゃべりしないと告げられたんだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加