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「それから……先生が言ったんだ。ガキには興味ないって……そしたら苦しくなって……俺は、対象外って言ったんだ……先生が……それで……」
俺は胸に詰まった塊を流してしまいたくて、ぬるくなったミルクティを一気に飲んだ。
「えっ!しーちゃん先生に告白したの!?」
「なっなんでだよ!してねえよ!」
「へ、じゃあなんで対象外とかって話になったの?」
「あ、ごめん。俺にじゃなくて、薫さんに言ったの。薫さんが、俺と先生がそういう関係だって思って……や、冗談で、だけど……」
言葉を濁して言ってんのに恥ずかしくてたまらなくてどっと汗が出てくる。
「あーなるほど……」
俺の沈黙に合わせて瑞希も同じくミルクティのカップに口を付けて、ほ、と一息つく。
話し終えてみると、事実が整頓されて少し気持ちが落ち着いてた。
「しーちゃんは、どうしたいの?」
「……どうしたいって……」
「もし対象内だったら……好きって言う?」
「ま…ま…待って、急すぎる!それに…はっきり聞いたんだ。対象外だって。もし、なんてねえよ」
俺がそう言うと、瑞希が椅子にもたれて両手で顔を覆い、うーんうーんと唸ってしばらく何事か考えて、やがて意を決したように両脚に手を突くと、ぴんと背筋を伸ばした。
「しーちゃん!」
「は、はいっ」
「あのね。深く聞かないでほしいんだけど……おーちゃんね、しーちゃんは対象外じゃないよ!前聞いた時は可能性があるって言ってただけだけど、今はあん時よりもっと惹かれてるはず。そんなの、目を見たら分かるもん。だから押してったら、大丈夫!根性だよ、しーちゃん!!」
闘志を燃やした瞳をきらきらさせてこぶしを握り締め、瑞希は俺の方へぐっと身を乗り出した。
「いや……ちょい待って、前聞いたって何?可能性ってなんのこと?」
「もー!深く聞かないでってば!可能性は、おーちゃんがしーちゃんを好きになる可能性!大丈夫!ね!告白しよ!!」
先生に告白……想像しただけで……あぁぁぁ無理!無理無理!!
「俺がイチかバチかってのがとてつもなく苦手なの知ってるだろ!そんな恐ろしい賭け、出来ねえよ!」
「えー!しーちゃん、これはイケる勝負だって!俺を信じなさい!」
「こえ―よ!無理!!」
狭い二人掛けカフェテーブルに頭を寄せ合って、ひそひそ怒鳴りあってさ……
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