大人組

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Side:尚也 「お待たせぇ」 帰ってきましたよ、子ども組が。各自トレーを持って、それぞれが元の席について……うん?しーちゃん、幾分落ち着いた顔してるじゃない。 頑張ったみたいだね。瑞希くん。 俺の方は俺の方で結構色々……色々でしたよ。 瑞希が子ども同士の話があるっつって席を変わってってからの残された大人組。 まぁ、食わせ者だよね、越智さん。俺もこんな性格なんで、食わせ者はキライじゃないですけど。 「俺さぁ、すげぇ聞きたかったことがあんの」 瑞希たちがいなくなってしばらくたわいもない話をした後に、越智さんが切り出した。 「なに?」 「お前さぁ……もともとガキが好きなの?」 もう少し遠回しに言うとかね。ないよね。いいけど。 「んなわけないでしょ」 「よくオッケーしたな。色々……面倒だろ」 「面倒ですね」 ならなんで?ってのを口に出さずに目で訴えてきて、でも俺も素直に話すほど優しくもない。 「何。参考にしたいわけ?しーちゃん可愛いもんね」 「まあ、あいつは可愛いけど、別に参考にってわけじゃない。キョーミだキョーミ」 「興味本位のご質問にはお答えいたしかねます」 「ケチ。い―だろ別に」 「あらよくご存じで。私、ケチじゃあ結構名が知れてるんですよ」 ひねくれた返答をしてもどこ吹く風、越智さんは気にした素振りも見せず、面白そうに笑った。 「瑞希がベタ惚れだからさ、どんな男っぷりのヤツなのかと思ったわけ。あいつ元々ゲイじゃねえだろ。よっぽど男のミリョクってやつが溢れてんのかなってさ、想像してたわけ。そしたらさぁ……」 ニヤニヤこっちを見て口元に手を触れる。現れたのが、この俺、って言いたいわけね。 「まぁあいつ、育ちだけはめちゃくちゃいいんで。良いもの見て育ってる分、真贋を見極める目はあったってことでしょうね」 「育ちだけってまたまた。ケンソンしちゃって。ちょーカワイイじゃん。スタイルもいいし」 「ヘンな眼で見ないで。減るから」 俺がおかわりに頼んだコーヒーに口をつけながら睨むと、越智さんは今度は声を上げて笑った。 「おもしれー。確かに瑞希は見る目あるわ」 さっきまで遊んでたくせに急に褒めてきて調子が狂う。 黙って見つめ返すと、向こうも同じように返してきて、俺と越智さんは互いに椅子に寄りかかってしばらく無言で向き合ってた。
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