出会ってしまった……。

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出会ってしまった……。

私は、いつものように街中を歩いていた。 その日は、仕事も早く終わり定時で帰る事が出来た。 ふと、横に目をやるとショーウィンドに映る見知らぬ男の姿。 見た目、20代で高身長のイケ(メン)。 男は、私の後を追うように着いてくる。 初めは、帰る方向が一緒だと思ってた。 けれど、執拗に着いてくる男。 私は、さすがに痺れを切らし文句を言おうと振り返る。 「あの!」 私が凄い勢いで振り返ると、驚くどころか爽やかな笑みを浮かべる男。 (何で、笑ってるのよ…) 「私に何か用ですか?」 男は、ニコニコと笑みを浮かべたまま返答しない。 (気持ちワル!!) 「ストーカーで訴えますよ!!」 私が怒って睨み付けた瞬間、急に男は私に顔を近づけてくる。 「なっ……何ですか…!?」 引きぎみの私に、男は一言告げる。 「君は、オレが見えるんだね」 「え?」 私には、何の事だか分からない。 「どういう……意味………ですか…?」 すると、今まで私の目の前にいた男が、いつの間にか私の後ろに立ち優しく耳打ちしてくる。 「こういう事さ…」 「…………えっ……」 (瞬間移動!?) 私は、この瞬間イケ(メン)がこの世の者でない事に気づく。 私は、今まで幽霊(そういうもの)を見たことがない。 テレビで見ても半信半疑だった。 だって、幽霊といったら足が無かったり心霊写真に映る時みたいに、うっすら程度だと思ってた。 だけど、私の目の前にいるイケ(メン)は、足もあるし姿形がハッキリ見える。 事態を把握出来ず、まさかの出来事に固まったままの私。 男は、そんな状態の私を気にする事もなく手を握りしめてくる。 「冷たっ……!?」 その冷たさに、思わず手を離す。 その冷たさは、確かに生気を感じられない。 それで、ようやく疑心が確信へと変わった。 私は、見てしまったのだと…。 私は、ニコリと微笑む男に訪ねる。 「ねぇ、あなた何故、私に憑き()まとうの?」 ニコリとする男は、言う。 「君に、叶えて欲しい事があるんだ」 「叶えて欲しい事?」 男は、キラキラとした眼差しで見つめてくる。 正直、めんどくさい事には関わりたくないと思い断ろうとする。 「もし、断るとしたら?」 そんな私へ男は、さらっと毒づく。 「呪っちゃうよ?」 どう考えても脅しだ。 とりあえず話しを聞く事にした。 話しよると、自分が亡くなった事で残された彼女が心配で逝けずいた男。 そんな男から、最後の願い。 「オレは、いつでも見守ってるから大丈夫だよ 」と伝えて欲しい。 たったそれだけ。 それを伝えて欲しいが為に私を選んだ。 (リア充かっ!何故私がそんな見ず知らずの男の為にやらなければいけないんだ!) 正直、見える人なんて他にもいるのに何故、私なんだろう……。 「何故、私?他にも見える人がいるでしょ?」 すると、男は満面の笑顔で答える。 「オレを見てくれたのは、君が初めてなんだ 」 (この男は、何を言ってるんだろ…) 「……どういう意味…?………」 「子猫を撫でていた時の事、覚えてない?」 その言葉に、私は気づいた。 それは、数時間。 街中にあるお洒落なカフェの片隅に座る男。 男は、白い子猫を優しく撫でていた。 私は、そんな姿が微笑ましく思え見つめていた。 その時、男は私の視線に気づいたんだと思う。 「あ…そういえば……」 「ようやく、気づいてくれたんだね?」 「はぁ……まぁ……」 事を理解出来たと解釈した男は、私の手を取り告げる。 「オレの名前は、雨宮 美澪(あまみや みお)これから、宜しく!」 強引な男に押されるまま、願いとやらを叶える事になった。 その日が、私と美澪との出会いだ。
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