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「はい、お土産!」
銀座に指輪を買いに行った翌日。
ゆきとまなが、家にお土産を持って来てくれた。
「わー!飴だ」
「クリスマスキャンディだー、可愛い!!」
「ありがとう、ゆきおじさん、まなちゃん!」
「二人とも、わざわざありがとうね!」
透明な部分からクリスマスカラーの小さな飴が入っているのが見える様になっている、シルバーの袋。子ども達がはしゃぎ、夫が呟いた。
「……金太郎飴……?」
「っ金太郎っ」
「金?」
「なに?」
「なぁにー?」
「金太郎って、何ですか?」
「う」
ゆきが復唱して絶句して、子ども達とまなには不思議そうに聞かれた。
「……今の、ジェネレーションギャップにも程が有ったねー……大丈夫、私は分かるよ?」
「ちぃ…………雪彦君……」
うなだれる肩を、よしよしってとんとんして慰めた。夫は、恨めしそうにゆきを見る。
「や、僕も大丈夫です大丈夫っ!僕も全然そっち側ですからっ!!」
ゆきが慌てて手を振る。
気を使いすぎだよ、ゆき。一周回って、逆に傷口に塩をなすり込んでるよ。
「あ、そうだ!年関係ない、良い話聞いたんですよっ!」
「年……」
ゆき。また塩を……会社でおじさん達とちゃんとやれてるのか、ちぃ姉はすごく心配……。
「あのですねー!指!相手の指って、こっちから見たら、どれがどれだか分からないじゃないですか?」
「ああ」
夫に手を見せていたゆきが、指でハートを作って見せた。
「こうやって手でハート作ると、指輪をはめる指が尖ったとこになるから分か……分か?……あれ?分からない?」
自慢げに話してたゆきは、ハートを作ったまま固まった。
ゆき……?
そのハートの尖ったとこは親指だから、指輪はあんまりはめないと思うよ?
「……ゆき……それ、違う……」
ゆきを白い目で見ていたまなが、ぼそっと言った。
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