五人姉妹の夏休み(短編)

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約二十分が経過したころ。 ドアノブを捻る音と共にまた誰かがリビングに入ってきた。 「ふあ~~」 欠伸をしながら起きてきたのは、金髪で背が低めな姉妹の五女。 大崎花林。 十七歳の高校生でありながら、子供っぽい性格をした明るい女の子だ。 トレードマークであるツインテールは、起きてきたばかりで今は結われていない。 今は、可愛らしい花柄のパジャマを着ている。 そしてその後ろには、もう一人花林より背の高い女性がいた。 大崎若菜。 大崎家の四女で、あまり喋らないクールな子。 白髪ロングが特徴で、脱色をして作り上げた自慢の髪。 若菜は桜子と同じく私服に着替えており、ジーパンに黒いTシャツというラフな格好だ。 「おはよう」 「おはよう」 「おはよ」 まだ眠いのか、桜子の挨拶に返事をしながら目を擦っている花林と、半目でそっけない感じで応える若菜。 琴子は夢中でポテチを頬張っている。 今いる三人を見て桜子は、花林に問う。 「七海姉さんはまだ寝てるの?」 「うん、さっき様子見たら、布団に抱きつきながら喘いでたよ」 その答えに呆れ顔をする桜子。 今は夏、クーラーをつけているとはいえ、あまり寝かせておくと脱水になる可能性があるので、桜子は二階の寝室に向かう。 大崎七海。 大学四年生の長女。 茶色くふわふわとした長い髪をもった美人。 おっとりとした性格で怒ることは滅多にない。 軽い変態で、妹たちにちょっかいをかけることがあり、皆に注意されている。 七海の部屋の前に着いた桜子は、扉をノックして安否確認をする。 「七海姉さん起きてる?」 しかし反応はない。 「姉さん入るよ~?」 恐る恐る扉を開けて部屋の中に入る。 いつもながら整理された特徴のない普通の部屋。 ベッドに目を向けると、布団がなにやらもぞもぞと動いている。 布団に手を伸ばして捲ってみると━━━ 「う~ん、うん~」
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