SIDE:B

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「……」  ゆっくりと布団から身を起こす。何となく目が覚めてしまった。  今日は久しぶりの休みだというのに、いつもの癖で早く目覚めてしまった。  二度寝してもよかったけれど、こうもはっきり目覚めてしまうと、それも無理そうだ。  私は立ち上がり、カーテンを少しだけ開けて外を眺めた。 「今日も晴れるかな」  少しずつ空が色づいてくる。もうすぐ夜明けだ。  せっかく早起きをしたのだから、このまま何もしないのはもったいないような気がした。 「散歩でもしようかな」  私はのんびりと外へ出る準備をする。  服に着替え、顔を洗って簡単に化粧をする。少し外に出るだけなので面倒だとは思うけれど、スッピンを晒せるほどもう若くない。  それに、田舎というのは会う人全てが知り合いのようなものだ。知り合いにスッピンを見られるのは恥ずかしい。  さぁ、どこを歩こうか。  私はあてもなく歩き出す。気の赴くまま、どこでもいい。  その時、ふと思った。  川へ行こうか。彼といつも遊んでいた、あの川。  幸せな思い出と、辛い思い出が混在するあの場所へ。  普段はあまりあそこへは行かない。行けば、必ず彼を思い出してしまうから。  しかし、この時の私は何故かあの場所へ行きたいと思ったのだ。  まるで何かに導かれるように、私はあの思い出の川に進路を取った。
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