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其の二・津久根島神社
大山の中腹に、津久根島神社という小さな神社がある。
もちろん誰も住んでおらず、神事のたびに近くの禰宜がやってくる。
しかし江戸時代の初めまでは、ここに黒装束の一族が代々住みついていたのだと言う。
地元の人たちはかなり昔から彼らを『クロシュウ』と呼んでいた。
彼らは神事は執り行わず、人が集まる時には揃って更なる山の奥に姿を消し、誰もいなくなるとまた出てきたのだそうだ。
彼らがいつ頃どこから来たのか、どんな連中だったのか、いついなくなったのかについては詳しく知る者がいない。
ただ、彼らが昔住んでいたという境内近くに、小鳥の羽や骨が沢山散らばっていたのを見たという人もいる。
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