8.無期限の恋人

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好…き…? 好きって、私を? 篠原さんが? 「どう…いう、こと…?」 「俺、すみれさんのこと、会社でずっと見てました。あなたが、みんなの依頼を断ることなく、嫌な顔一つしないで引き受けるのも、外訪から帰ってきた営業にコーヒーを入れているのも、見てた。俺はそれが羨ましくて。」 「…ちょ…篠原さん…」 すみれは身動(みじろ)ぎして、篠原の腕の中から彼の顔を見る。 彼が本気かどうか、なんてその表情で分かることだ。 篠原はとても、真剣で、真っ直ぐで、そして少し困ったような男の子の顔をしていた。 「困らせて…ますか?俺、…ごめんなさい…でも、…」 すみれは、彼の背中にそっと手を回した。 昨日、あんなにどきどきしながら見た背中。 触れても、いいの? 「私も、好きです…。あなたのことをいろいろ、ハイスペックだとか言う人もいるけど、そういうことではなくて、とても優しくて、気を使ってくれて、おばあさん思いの篠原さんを見て、好きになりました。だから…嫌いになんてなりません。側に置いて、くれますか…?」 「すみれさん、好きです。本当に。側にいて下さい。」 ぎゅうっと、抱きしめられる。 今度はすみれも抱き返した。 とても幸せな、暖かい気持ちで。 「はい…洸希さん…。」
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