1857人が本棚に入れています
本棚に追加
好…き…?
好きって、私を?
篠原さんが?
「どう…いう、こと…?」
「俺、すみれさんのこと、会社でずっと見てました。あなたが、みんなの依頼を断ることなく、嫌な顔一つしないで引き受けるのも、外訪から帰ってきた営業にコーヒーを入れているのも、見てた。俺はそれが羨ましくて。」
「…ちょ…篠原さん…」
すみれは身動ぎして、篠原の腕の中から彼の顔を見る。
彼が本気かどうか、なんてその表情で分かることだ。
篠原はとても、真剣で、真っ直ぐで、そして少し困ったような男の子の顔をしていた。
「困らせて…ますか?俺、…ごめんなさい…でも、…」
すみれは、彼の背中にそっと手を回した。
昨日、あんなにどきどきしながら見た背中。
触れても、いいの?
「私も、好きです…。あなたのことをいろいろ、ハイスペックだとか言う人もいるけど、そういうことではなくて、とても優しくて、気を使ってくれて、おばあさん思いの篠原さんを見て、好きになりました。だから…嫌いになんてなりません。側に置いて、くれますか…?」
「すみれさん、好きです。本当に。側にいて下さい。」
ぎゅうっと、抱きしめられる。
今度はすみれも抱き返した。
とても幸せな、暖かい気持ちで。
「はい…洸希さん…。」
最初のコメントを投稿しよう!