3.期間限定の恋人

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3.期間限定の恋人

「葉山さん、実はお願いがあって…」 少し離れたところに立っていた篠原が、遠慮がちに口を開いた。 「はい?」 篠原は口籠っている。 いつもキビキビしている篠原のそんな姿は見たことがなくて、すみれは首を傾げた。 「俺の…」 「はい。」 「俺の、恋人になってくれませんか?」 「は…い?」 ──恋人…?え? 何を言われているのかよく分からないけれど? すみれは耳を疑う。 告白?にしては、篠原からは甘い雰囲気を感じない。 「あー、えっと、ごめん!突然すみません!それには理由があって…聞いてもらってもいいですか?」 照れた様子の篠原が慌てて説明するのには、こういうことだった。 篠原の母方の実家では、おばあさんが田舎の実家で一人で住んでいるそうだ。 小さい頃に、とてもよく可愛がってもらっていたが、どうもここ最近、体調が思わしくないらしい。 「大丈夫なんですか?」 心配になって聞くと、篠原は苦笑して返した。 「年相応ではあるんだよ。」 口を開けば、お嫁さんはどうなっているのか、と聞くので、彼女を連れていって安心させてあげたい。 けれど、今自分にはそういう人はいない。 困ったところに、ちょうどすみれと休みが合いそうだと知って、声をかけてみた。 「それに、チームは違うけど、葉山さんは信頼出来る人かなって、見ていて思ったし。」
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