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お湯が湧くのを待つ間、ポケットに入れていたスマホを見た。
LINEが来てる。
幼馴染の優樹菜からだ。
《昨日はお疲れ!矢沢が久米っちを励ます会をしようって。私としてはもう少しそっとして置いた方がいい気がするんだけど、真白はどう思う?》
昨日の今日でまだ混乱してるはずだ。
《時期尚早だと思う》
そう返すと、
《だよね。矢沢食い止めとく》
と、すぐに返ってきた。
幼稚園からの幼馴染。
家族の次に長く過ごした仲間。
そんな大事な友人があんな酷いことをされてしまった。
胸中穏やかではない。
大人になって出てくる問題は、大きいとつくづく思う。
子供の頃の問題も、思春期に抱えた問題も…いつもその壁は厚く感じたのに、今思えば笑ってしまうことや、何であんなに悩む必要があったのかと不思議に思うことが多い。
解決能力が備わったからなのか…
きっと大人になったからだ。
だったら、今のこの久米っちの惨事もいつか笑い話になるのだろうか…。
少なくとも今は笑えない。
沸騰したお湯。
私は急須を出して緑茶をいれる。
いい香りがした。
濃いめにいれたお茶。
トレーにのせて、先生のデスクへ運ぶ。
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