10978人が本棚に入れています
本棚に追加
挙式がはじまると、厳かな空気に変わる。
神父さん達や、国分さんの登場も息を飲んだけど、叔父さんにエスコートされて現れた響ちゃんの姿には息をするのを忘れるほどだった。
「綺麗…」
思わず言葉が出た。
バージンロード前で、留袖姿の叔母さんにベールダウンをして貰う。
号泣の叔母さんの肩を、響ちゃんは優しく擦り、何か声を掛けていた。
その姿が胸を打つ。
ボリュームの少ないAラインの純白のウェディングドレス。
トレーンの短いナチュラルなウェディングに、キラキラ光る長いベール。
小ぶりのホワイトベースのブーケ。
叔父さんにエスコートされて通り過ぎるまで息が出来なかった。
昔から、可愛いお姉さんだと思っていたけれど、今日改めて世界で一番綺麗な花嫁さんだと思った。
叔父さんが国分さんと握手を交わし、叔父さんの手から国分さんの手へと移る響ちゃんの手。
一瞬二人が目を合わせて、微笑んだ。
なぜかその一連のシーンで涙が溢れた。
久米っちには申し訳ないけど、久米っちの時には感じなかった感動だった。
どのシーンも見落としたくなくて、瞬きを忘れて見守った。
結婚に憧れがなかったわけじゃないけれど、恭ちゃんとの結婚を改めて、夢見てしまう。
こんな風に幸せに結ばれたいと、思い描く。
式の途中、全面ガラスが開いて、
外の風、森の香り、小鳥のさえずりや、水のせせらぎが聞こえてきた。
自然に触れた空間の中で、気持ちが洗われる。
感極まって涙を見せた響ちゃんの涙を、優しく拭って誓いのキスをした国分さん。
素敵な結婚式だった。
最初のコメントを投稿しよう!