2. 発覚1週間前

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挙式がはじまると、厳かな空気に変わる。 神父さん達や、国分さんの登場も息を飲んだけど、叔父さんにエスコートされて現れた響ちゃんの姿には息をするのを忘れるほどだった。 「綺麗…」 思わず言葉が出た。 バージンロード前で、留袖姿の叔母さんにベールダウンをして貰う。 号泣の叔母さんの肩を、響ちゃんは優しく擦り、何か声を掛けていた。 その姿が胸を打つ。 ボリュームの少ないAラインの純白のウェディングドレス。 トレーンの短いナチュラルなウェディングに、キラキラ光る長いベール。 小ぶりのホワイトベースのブーケ。 叔父さんにエスコートされて通り過ぎるまで息が出来なかった。 昔から、可愛いお姉さんだと思っていたけれど、今日改めて世界で一番綺麗な花嫁さんだと思った。 叔父さんが国分さんと握手を交わし、叔父さんの手から国分さんの手へと移る響ちゃんの手。 一瞬二人が目を合わせて、微笑んだ。 なぜかその一連のシーンで涙が溢れた。 久米っちには申し訳ないけど、久米っちの時には感じなかった感動だった。 どのシーンも見落としたくなくて、瞬きを忘れて見守った。 結婚に憧れがなかったわけじゃないけれど、恭ちゃんとの結婚を改めて、夢見てしまう。 こんな風に幸せに結ばれたいと、思い描く。 式の途中、全面ガラスが開いて、 外の風、森の香り、小鳥のさえずりや、水のせせらぎが聞こえてきた。 自然に触れた空間の中で、気持ちが洗われる。 感極まって涙を見せた響ちゃんの涙を、優しく拭って誓いのキスをした国分さん。 素敵な結婚式だった。
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