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ー月曜日の朝、父の仕事の都合もあり、千歳空港に居た。
会社用のお土産…。
「これでいいか」
蟹せんべいと雲丹せんべいをかごに入れる。
お土産売り場で物色中。
恭ちゃんは何がいいだろう。
出張中だから電話に出ないかもと思いながら電話してみた。
『もしもし…?』
「あっ、恭ちゃん?お疲れ様、今大丈夫?」
『あ、あぁ…』
「お土産何がいいか聞くの忘れてて。何かリクエストある?」
『そうだな…。真白と一緒に食べられる物がいいかな』
何だか元気がない。
「恭ちゃん、大丈夫?」
『うん?大丈夫!』
「そう?」
ちょっと心配になった。
「今、どこ?」
『家だよ』
「えっ?出張は?」
『あぁ…昨日のうちに帰って来れたから、帰って来た』
「そう…具合悪い?」
『元気だよ。気をつけて帰って来て』
何だかいつもと違う気もするけれど、これだけ離れてたら顔も見えないし…
とりあえず、一緒に食べられる物を選んで帰るねと伝え、電話を切った。
私はスープカレーや美味しそうな北海道限定のお菓子を選びレジの列に並ぶ。
昨日の結婚式は本当に素敵だった。
その後のパーティーも国分さんの友人が披露したDVDに感動したり、感無量で泣き出すそのご友人のスピーチが泣けたり笑えたりで…。
響ちゃんの同期のスピーチも感動したなぁ…。
響ちゃん、本当に綺麗だった…。
お土産を購入して、父が待つベンチへ急いだ。
父はまた新聞を読んでいた。
「お父さん、お母さんとお姉ちゃんのお土産は?」
父の荷物が増えている様子はない。
「魚介類を直送にした」
…それは一番喜ぶだろうけど。
「持って帰った感動がなくない?」
「瑠璃が食べられるかわからんから、すぐじゃなくて大丈夫だ」
「お姉ちゃん、そんなに酷いの?」
「うん?…じきに治るよ」
父はそう言った。
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