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「だって、恭ちゃん…夢が…叶ったんだよ…」
あまりの突然の発表に、喜びと感動と驚きが一気に来た。
感情が溢れて涙が出た。
手で涙を拭う。
そんな私を見て、恭ちゃんは服の袖で顔を拭いてくれた。
「泣くなよ」
「だって、何でそんな大事なこと、今発表するの?」
私の溢れる感情を見ながら、恭ちゃんは笑う。
「そんな可愛い顔して泣いてたら、ここで押し倒す」
耳元で囁いた爆弾発言に、涙を引っ込める。
「なんだ…泣き止んじゃったよ」
つまんなそうに恭ちゃんは言った。
「十代じゃないんだから、バカなこと言わないで」
私の言葉に恭ちゃんは笑う。
「今、言ったのは家賃のこと安心して貰いたかったから」
恭ちゃんは優しく言った。
「いずれは家を買うつもりだし、それまでの住まいだよ。ここからなら真白の会社も近いし、俺が勤務する場所も自転車で行ける範囲だから…。忙しくなっても真白との時間は大事にしたい」
確かに通勤時間が短ければそれだけ過ごせる時間が長くなる。
今よりもっと忙しくなる恭ちゃんにとって、ベストな場所を選んであげたい気もする。
「でも…私、本当に甘えていいのかな…」
「いいよ!真白には一緒に住み始めた時に、めちゃくちゃ世話にもなったし、助けて貰ったんだから」
「でも1年くらいの話じゃない」
「その1年がどれだけ俺を支えてくれていたと思う?」
そこまで考えたことはなかった。
あの時はまだお互い20代前半でとにかく一緒に居るだけで楽しかったし…
がむしゃらだった。
「1つ下の真白に、随分俺は頼ってた」
そんな風に思わせていたなんて…
「困った時はお互い様」
「うん。だから、ここの家賃は俺に払わせて」
そう言われて、何て雑なまとめ方だと笑ってしまった。
「恭ちゃん、別に困ってるわけじゃないから。贅沢な悩み…」
私が話している途中で、恭ちゃんが私の手をキュッと握った。
「真白、俺と一緒にここに住もう」
そんな風に真剣な顔で言われたら、勘違いしちゃう。
恭ちゃんプロポーズみたいだよ、それ…
結婚式で刺激された私がそう思ってしまうのか、何なのか。
私は頷いて応えた。
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