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即決で恭ちゃんは契約をした。
来月から代官山の店長になる。
今月中に引っ越しを済ませよう。
そんな気持ちもあってか、翌週には住めるようにと、動くことになった。
契約手続きを済ませて、今晩は二人で外食をした。
複合商業施設の中にあるお店で、食事をしながら、色んな話をした。
ファーストクラスの快適さを話せば、
「俺もいつか乗ってみたいな」
と夢を見る恭ちゃん。
響ちゃんの結婚式が素敵だったことを話せば、
「どこが一番感動したの?」
と問い掛けられた。
「う~ん…やっぱり、チャペルの入場シーンかな」
思い出しただけでも胸が熱くなる。
「あっ、でもフラワーシャワーも良かったの!」
「フラワーシャワー?」
式後、パーティーのあるホテルまで先に戻った参列者は、新郎新婦を迎えてフラワーシャワーをした。
「お花がいっぱい舞ったんだけど、その時にね、真っ白な粉雪がふわふわって降ったの!」
まるでドラマのワンシーンみたいだった。
「へぇ!演出じゃなく?」
「じゃないじゃない!自然現象!北海道の山の上だもん。11月でも雪が降るんだよ」
国分さんが粉雪に気付いて、響ちゃんに耳打ちした後、響ちゃんが空を見上げて、とびきりの笑顔を見せた。
「真白は人の幸せを自分のことみたいに喜ぶよな」
恭ちゃんはそう言って微笑んだ。
「えっ?そう?恭ちゃんもあの二人見たら絶対祝福しちゃうよ」
「そこまで言われたら会ってみたいかも」
恭ちゃんもあんな二人を見たら、結婚…したくなるのかな。
そんな風に思った。
夕食後、施設内にある家具や雑貨のお店を覗いてみた。
カーテンが一番先に必要だろうと、それを見る。
種類の多さに感心し、値段を見て驚愕する。
二人で同棲をはじめた時のカーテンは、ホームセンターで買った割引シール付きのものだった。
「真白、どのカーテンがいいと思う?」
そんな風に聞かれても、値札見ちゃったから無邪気になれない。
「い、今のカーテン使い回せるんじゃない?」
「あぁ…でも部屋数増えるから新しいのいるだろ?」
そうだった…。
「恭ちゃん…でも、これ高いよ?」
私は掴んでいたカーテンを見せる。
「どれ?」
値札を確認する恭ちゃん。
「マジか」
思わずに笑う恭ちゃん。
「こっちにあるのが高いんだよ。あっち側はそうでもない」
恭ちゃんに手を引かれて見たカーテンは、お求め易い価格だった。
「これなら買える」
私が安心すると、恭ちゃんがウケた。
「なんで笑うの!?」
「いや、確かにカーテンにあの値段は出せない」
「だよね!?」
「何が違うんだ?」
恭ちゃんはさわり比べたりして確認する。
それがまた面白かった。
家具も少し見た。
キッチンボードやソファを新調しようなんて、話は盛り上がって色々見たけど、全部ってなると尻込みする。
だけど、
「これは買いじゃねぇ?」
二人でダブルベッドに寝転がる。
「広い!」
「マットの固さが絶妙」
起き上がる。
有名な寝具メーカーのベッド。
かたおちで安くなっていた。
「真白、買おうよ!」
「これは、いい買い物!」
私も賛成した。
恭ちゃんは買ってくれるって言ったけど、来月ボーナスも出る予定だからと、折半で購入した。
新居に引っ越したら届くように手配した。
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