1. 発覚1ヶ月前

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一緒にお風呂に入るのは、久々だった。 お互い仕事も忙しくて、私はほぼカレンダー通りだけど、恭ちゃんは毎週月曜日のお休みが固定で、後はシフト。 副店長になってからは、会議だ研修だと休み返上で仕事をしている日も少なくない。 昔は一緒にお風呂に入るのが日課だった。 水道光熱費節約の為にはじめたことだった。 それが今は月に数回あるかないか。 一緒にお風呂に入ると、恭ちゃんが髪を洗ってくれる。 極上に気持ちがいい。 「このシャンプー香りがいいね」 「新しく入ったシャンプーなんだよ。どう?」 「アロマ系の香りだからリラックスするかも。私は好き」 目を閉じて、バスチェアに座り、恭ちゃんのシャンプーに集中する。 恭ちゃんに洗って貰うと、自分で洗うより地肌がスッキリする。 恭ちゃんと一緒に住むようになって、私の髪質は格段によくなった。 一緒にお風呂に入った日は、お風呂から上がってからも、タオルドライとドライヤーもしてくれる。 それも気持ちがいい。 「はい、出来たよ」 私の髪は綺麗にドライヤーしてくれるのに、自分のは一瞬ドライヤー風を当てて終わり。 「恭ちゃん適当すぎ」 「いいんだよ、俺は」 「貸して貸して」 恭ちゃんが持っていたドライヤーを取り、今度は私が恭ちゃんの後ろに回ってドライヤーする。 右手でドライヤーを持ち、左手で彼の髪に触れる。 彼の少し癖のある猫ッ毛の髪が好き。 乾かしてフワフワになった髪。 ドライヤーを止めて床に置き、後ろから抱き締めた。 「今日はよく甘えてくれる」 彼はそう言って、抱き付いて回した私の手をキュッと握ってくれた。 私は彼の背中に体重を掛ける。 「おぅ、重ッ」 「重くない!」 彼の失言を笑って否定する。 一通りじゃれて、私と恭ちゃんはベッドに入った。 「ベッドも買い換えたいよな」 セミダブルに身を寄せあって眠る私達。 「結構高いよ?」 「いや、でもせっかくだし。真白の節約志向のおかげで、俺、今わりと金ある」 「そうなの?」 二人で顔を寄せ合って笑う。 「新しく家具を新調する時は、結婚する時かなって勝手に思ってた…」 ポロッと出た本音。
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