1. 発覚1ヶ月前

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翌朝、キッチンで朝食を作っていると、恭ちゃんが起きてきた。 普段の出勤は、9時始業の私が早くて、私が家を出る時恭ちゃんは夢の中。 彼のお店は11時オープンで、大体10時半に着くように家を出ていた。 いつも朝食は作って置いて出る。 「おはよ、早いね」 まだ眠そうにやって来て冷蔵庫から牛乳を出す恭ちゃんを横目に、私は目玉焼きを作っていた。 「おはよ。今日、本部で会議なんだよ」 そう言って大きなあくびをしながら、マグカップを出して牛乳を注ぐ恭ちゃん。 「ホットミルク?温めようか?」 ミルクパンを出そうと棚に手を伸ばす。 「いや、いい!電子レンジ君がいい仕事してくれるから」 彼はそう言って、電子レンジにマグカップを入れて温めをスタートさせる。 この電子レンジも、同棲をはじめたタイミングで買ったもの。 当時そのお店で1番安い電子レンジにした。 だからってわけではないけれど… 「それで温めたら、温まりにむらが出ない?」 それがイヤで私はいつもミルクパンで温める。 「気にしない」 恭ちゃんはそう言って、温めたマグカップを電子レンジから取り出す。 「何か、手伝おうか?」 「大丈夫。もうすぐ出来るから、座ってて」 私は目玉焼きを、サラダとパンがのったお皿に合い盛りする。 「真白はオレンジジュース?」 「あっ、うん。ありがとう」 恭ちゃんは私の分のコップを出して、冷蔵庫からオレンジジュースを出し、注いでくれた。 彼は飲み物とカトラリーを、私は出来上がった朝食のお皿をそれぞれ持って、リビングのローテーブルにセッティング。 ダイニングテーブルはなく、リビングのローテーブルでいつも食事をする。 リビングにはテレビと二人掛けのソファ、そして木製の棚しか置いていないシンプルな部屋。 真四角のローテーブルに隣同士の辺に座る。 「じゃ、一緒に」 二人で手を合わせて、 「せーの」 と声を掛けて一緒に、 「いただきます」 と言う。 「あっ、そうだ。来月の11日なんだけど」 食べ始めたタイミングで、恭ちゃんが思い出したように言い出した。 「11日?日曜日?」 「うん。ちょっと出張になるかも」 「出張?珍しいね。どこに?」 「名古屋か大阪。代表とかと一緒に。地方に店出す計画があるみたいで」 私はカレンダーを見た。 「11日何かあったような…」 「マジで?」 「何だったかな…」 よく考えて、昨日の母達との会話を思い出した。 「あっ、私は関係ないや。従姉の結婚式だった」 響ちゃんの結婚式だった。 「えっ?行かなくていいの?」 「うちからは、両親が呼ばれてるみたいだから」 電報は打っておこうと、忘れないように私は鞄から手帳を出して、響ちゃんの結婚式と恭ちゃんの出張を書き込んだ。 「まだちょっと先だな」 「1ヶ月なんてすぐだからさ」 そう言って、恭ちゃんは笑った。
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