02 コバメナイ

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02 コバメナイ

 幼い頃から私は、母から「気が弱い」と言われてきた。  無遠慮な善意も、独り善がりな好意も、駅前で配られるティッシュペーパーも、押し付けられれば拒めない。  そして拒み方など分からないまま大人になった。  分かりたかった。分かっていればこんなところにいない。  大人になった私は、母には言えない場所にいる。  私を包むすえた酸の臭いも、ぬめりとした舌も、  ――私を貫く性器さえも拒めないの。
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