04 どうせ秋

1/1
前へ
/5ページ
次へ

04 どうせ秋

 夕方がやってくる少し前。柔らかな日差し。他人のような、白い日差し。 「物悲しいのは秋のせい」  ためいきは温度がない。落ちないしずく。言えないあたし。 「気温が下がるから人恋しいだけだよ」  求める温もりは誰かのものじゃない。  認めたくない。認めたら、あたしは――。 「誰でもいいなんて言うわけないじゃん」  あたしの中心にいるのは、明確に。 「ビッチじゃあるまいし。どうせね」  あなたがほしいと言う勇気もなく。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加