05 しるし

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05 しるし

 鼻に触れた君の髪から煙草の匂いがした。  いつも君が吸っている名前の知らないやつ。  でも君が吐く煙より甘い。  ああそっか、君の匂いと混ざってるからだ。  私の首筋を唇が撫でる。  そこにあるのは独占欲。  汚い? ううん、私は好き。  誰かのものでいるって安心するの。  ――ぷつ。  吸い切られた血管。  私は息を漏らす。  君の愛はいつも痛いよ。
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