01 桜の記憶

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01 桜の記憶

 はらはらと舞い落ちる薄紅に、私の心は落ち着かなくなった。  くちびるに触れる花の香り。懐かしい記憶。触れ合った、春の記憶。  けれどそんな期待をする私を裏切るように、ただざあっと春の嵐が縁側に吹き込んだ。  寒い。舞い上がった桜の死骸が髪に絡む。  あなたは風になったというけれど、今、私に触れたのはあなたでしたか?
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