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ジェネリックラブレター②
そんなんわざわざ言うためにダチから離れておれ追いかけてきたの!? ばっかじゃないのお前のスクールライフに傷つくぞ!
「……あ。そ」
差し出されてるブツを自然に、自然に受け取る。はしっこ持って、さわらないように。汚さないように。だってヤツの爪ぴかぴかだし。そんなぴかぴかさせんの手間かかるくらいわかるもんおれだって。
「ねーもしかしていつも邪魔?」
「は?」
いきなりの会話続行にうっかり目合わせちゃったじゃんかばかやろう。絶対つまんなそうなカオしてた。はいほら、おれはつまんないからつまんない奴だから早く戻れよ。
「何も書いてないじゃん? それ。なんかそーゆー、お察し?みたいなコトかなって」
ばっかじゃないのおれ何嫌がらせしてんのおれすっげーヤな奴! はい嫌われたおれ完全に嫌われたサヨナラバイバイ。
やばいわ。めちゃやばい。ラブレター書ける昔の人やばい。勇気はんぱない。古いっつってゴメン。すごい。鬼すごい。
「書けなかったんだよ」
そうそう書けなかったんだよ。
「すき、とか」
うんうん。いざ書こうとしたらめちゃ恥ずいんだもん。昭和人すげぇわ。
「……え?」
マジでわかんない、って声でおれはミスを悟った。おれマジばか。声に出してた。えマジで? うそ、うそっつって?
まーたおれは目ぇ合わしちゃったけどうわおれ見つめあって……見つめあって……ほっぺた赤いけどヤツ風邪なん? 違うわおれが見るにたえない恥ずさなんだわ。あーきしょい、きしょいって思われてるー。
マジでっ! やばいから!
「すき屋のっ……メニューが! 書けなかっ……た」
「……え。あ、うん、へえー」
スンって真顔になるのマジやめたほうがいい。いつもみたいにキャッキャしとけ? そいで忘れろ、忘れるんだ、おれがジェネリックなんちゃらしたことなんて。おれは帰る。帰るからな! マジむりしんどい。くるって背向けて歩きだすおれにヤツなんつったと思う?
「あたしー、まつや派ー!」
知ってるわこないだめちゃハイテンションでしゃべってたの聞いたわ! こちとら毎日聞いてんの! そんでおれはすき屋派でもねぇし牛丼の話がしたかったんでもねぇし!
古式ゆかしくラブレターはメンタル極太でもないと書き出しの時点でむずいって話だよ! リベンジするから覚えとけよ!
〈ジェネリックラブレター/完〉
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