4.ドール先輩のこと

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4.ドール先輩のこと

さて刊行を間近に控えて受賞時の『ドール先輩の修復カルテ』は有料設定に変更しました。 理由は単純で刊行時の内容と大きな部分で異なるからです。 いや、まったく全部書き直したというわけではありません。 しかし冒頭から結末に至るまで、そして各話の一部分については新たに書き直しましたし、主人公であるドール先輩に至ってはキャラクターそのものを調整し直しましたし、雛太くんの新たな、そして重要なドラマも加わりました。 これは僕にとって、ものすごく大きな意味を持つ修正でした。 自分でも気づけていなかった本作のテーマ性がより明確に浮き上がった気がしますし、作品の魅力が受賞時原稿よりも刊行時原稿のほうが倍加していると思うわけです。 というわけで、エブリスタ版を読んで本編を読んだ気になってもらっては困るし(実は誤認による間違いもあったりしたんだけど、それはそれとして)一種パラレルワールドのような関係性にもなっているので、下手に公開していても、ちょっと僕としては居心地が悪いので「どうしても両方読みたい、その違いを知りたい」という奇特な方だけに手を伸ばして頂くのがよかろう、という考えから半ば封印したのです。 こういった読み比べは一般の読者というより作家志望の方のほうが、もしかしたら参考になるかもしれません。 正直言って受賞時原稿にある手応えを持っていたのも事実ですが同時に何か物足りなさも抱いていました。 それらが何だったのかを自分なりに見つめ直し、考え直して脱皮させたものが刊行時原稿となります。 あとやっぱWEBで横書きで読んでる分には気にならないことが縦書きで改行も抑えめにして読み直すと、気になってくることがいっぱいあったので全面的な推敲もしています。 というわけで『ドール先輩の修復カルテ』は2020年5月13日、光文社キャラクター文庫より刊行です。 エブリスタ版を一度読んだことある方も是非、書籍版を手にとって見て下さい。冒頭から読んだことのない世界が広がっていますし、結末は全く異なる展開となっています!
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