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……なんだかんだ言っても「効果ある」っていやぁ「ある」んだ、これが。
そんな風に思いながら里中は、そそり立つ自らのイチモツを、つくづくと眺めてしまう。
「やっぱり里中さん。『マッサージ』と相性いいですね」
今一度、ズブロッカを壜から呷って、李が里中の陰茎をのぞき込んだ。
李の息が膚に掛かる。
その感覚を鋭敏に拾って、屹立がヒクリと痙攣した。
「好嘢好嘢! 元気いっぱい」
李は相変わらず、幼稚園児の歌声を誉めるみたいに能天気な口調でホザく。
そして、
「嗯、『ナカ折れ』しそうになったとき。この前教えた『コレ』、ちゃんとやりましたか?」と、里中の会陰部をグッと押し上げた。
ゾワリとした寒気とともに、ぬるいさざ波が下腹部全体に広がる。
あんっ……と、思わず変な声を上げてしまい、里中は耳の先まで真っ赤になった。
だが、すぐに丹田に力をこめ、低く抑えた声で、「そりゃ『やった』は『やった』がな」と言い返す。
「ダメなもんは、ダメだったんだから、しゃあねえだろうが!」
居直りに開き直りの恫喝は、ヤクザの十八番だ。
道端や店先で、強面の里中からこんな風に凄まれたら、たいていの人間は半泣きで逃げ出すに違いない。
だが今、里中は下半身丸出しで、しかも涙目。
勃起させた陰茎を精液で濡らしまくっている。
しかも、ついさっきまで尻穴に中年男の指を突っ込まれて、ヨガりまくっていたのだから、どうにも迫力に欠ける。
そんな里中相手だ。李も「哈哈哈」と笑うだけだった。
その間も、里中のペニスはヒクリヒクリ、重く痙攣を続ける。
まさしく、オンナの鼻先に突きつけてやりたいような「怒張」だった。
チクッショウめ。
なんで「今」なんだよ?!
里中はまたしても臍を噛む。
「ブチ込む」場所もないってのに、ムラムラが止まりゃしねぇ……!
募りまくる性欲に当てられまくり、里中は自分がもはや、一体、何を求めているのかすら見失いそうになっていた。
片手で自らの茎を握り込む里中の、もう片方の手指が腰へと回る。
塗りこめられた蜜蝋や、自らの腸液でヌルリとぬめる割れ目の奥。
自分の尻穴へと、里中は指を挿し入れようとしていた。
「哎!」李が短く叫んだ。
「里中さん、ダメ。そのままはダメ。爪でお腹、傷つくかもしれませんね」
そしてどこかからかコンドームを摘みとって咥え、口と手指で袋を開けた。
里中の人差し指と中指が、ゴムでくるまれる。
「里中さんのココ。もう、二本はすぐに入ります」
「すんなり咥え込める」指の数などを明言され、里中は、まるで竿役にエロ台詞を言われるAV女優のような気にさせられる。
屈辱めいた忸怩たる思いに、ただ耳が熱くなった。
李が里中の手を取る。
ジワリと、「入ってくる」感覚がやってきた。
それと同時に、自らの指が熱に包まれていく感覚も――
ヒリつくような羞恥心と、切ないような奇妙な安堵感とに弄られて、里中の陰茎がまたひとつ、大きくヒクついた。
「慣らし」のように数回、李が里中の手首を前後にピストンさせる。
続いて二本の指に角度を付けさせ、軽く抉るように挿し込ませた。
「っあ、ああっ……!」
思わず声を洩らしながら、里中は、入口とナカが、きゅっと締め付ける様子を自分自身の指で余すところなく感じ取ってしまう。
どうしようもなく混乱する気持ちを振り払おうと、「ちくしょうっ」と、鋭い悪態を吐いてみるが、大して役には立たなかった。
「ナカで、指を動かしてみて」
李が囁く。
「強くはダメですよ。そっとです」
「…動かすって、ど…やって」
「まず、前の方ですね。指の腹で撫でるみたいに。気持ち、集中して。自分でちゃんと感じ取ってください」
妙に真面目な説明だった。
里中もつい、言われるがまま、自らの指先を内で蠢かせ始める。
「そっとですよ……そっと、そうっと」
李が、子守唄めいて繰り返した。
そして僅かずつではあったが、里中にも、触り心地や感じ方の違いが分かり始める。
「好呀好呀。そうそう上手。里中さん、ガンバって」
子供扱いの誉め言葉で励ましてから、李はまたカラリと短く笑い、ズブロッカの壜に指を伸ばした。
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