聖誕快樂!(エピソード完結済)

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聖誕快樂!(エピソード完結済)

1  ほぼほぼ、一気呵成に食べ終えた「干炒(牛肉牡蠣ソース)牛河(炒め麺)」の皿から視線を上げ、里中は深い溜息をついた。  そして、蛍手の中国茶杯を摘み取ると、かなり濃くなった普洱茶(ボウレイチャ)を、グビリと飲み下す。  ちょうどその時、翠園酒家(ジェイドガーデン・レストラン)の支配人(リー)が、里中のテーブルへとやってきた。 「どうぞ」と、里中の前に小皿とフォークを滑らせる。  里中が怪訝に眉根を寄せた。 「おっと、李さん。こんなモンは頼んじゃないぞ」 「これは、わたしからのサービス……オマケです。お礼のしるしに」  ――礼?   一瞬、顔にクエスチョンマークを貼り付けてから、里中はハッと思い当たる。  ああ、あれか――と。  「玲姐姐(リンジェージェー)」の件。  「玲姐姐」というのは、銀寮会の下部団体のシマで足裏マッサージの店を出してる女で。  まあ、李の知り合い――というか。  李いわく、「お姉さん」にあたる女らしいのだが。  とある事情で、丁度、銀寮会内部がゴタついていた時。  そのスキを縫って、近隣の組が、みかじめの二重取りを狙って「玲姐姐(リンジェージェー)」にチョッカイを掛けてきた。  そのゴタゴタに、里中が、チョイと口を利いて、諸々を丸く収めてやったことがあったのだった。  里中とて、天下の砧興業の代貸(No2)だ。  三次団体の間のいさかいを取り持つくらい、どうということもないのだが――  ……って、オイ。  それにしたって、「菓子」のサービスが「礼」だと?
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