戦闘という名の日常。

1/1
前へ
/15ページ
次へ

戦闘という名の日常。

はじめのうちは、普段の戦闘となんら変わりなかった。ただ、木々の中をひたすら行軍し、先へ先へと進んでいることだけが違う。時には獣道すら突き進み、もちろん軍の中には疲れてふらつく者もいた。だが、立ち止まろうとすれば容赦なく銃が向けられ、彼らは従うしかなかった。 その日、三度目の戦闘の中、リーフは駆けていた。のろのろしていたら、標的にされて終わるーーーー彼はそれを、セグから教わったばかりだった。 気配を感じてふと振り返ると、間近で爆発音が響いた。リーフは反射的に飛び退き、白い煙から逃れてそちらを見る。 「……………!」 煙に遮られ、中の様子は見えない。しかし、リーフにはなにが起きたのかは理解できた。おそらく、誰かが地雷を踏んだのだ。敵か味方か判らないが、生きてはいないだろう。 小さな、声にならない悲鳴を上げて、リーフは素早くその場を去った。煙がなくなった視界に映るものが、予想できたからだ。 無我夢中で走りーーーーはたと気付き、リーフは足を止める。 「あれ? そういえば、ここ、どこだろ……」 いつの間にか、戦場の叫び声や銃声は聞こえなくなっていた。自身の周りに広がる木々を、リーフはぐるりと見回す。 「ーーーーおい」 低い、聞き覚えのある声が、やけにとおって聞こえた。リーフは振り返ると同時に、頭に浮かんだ人物の名を呼ぶ。 「あ、セグ……」 「おまえ、なんでこんな所にいるんだ?」 若干呆れた口調で、セグは続ける。 「軍はとっくに引き揚げたってのに、いったいなにやってんだ? はぐれただけでも、脱走したと見なされて罰を受けるんだ。バレる前にさっさと戻るぞ」 返事を待たずにセグは踵を返してしまい、リーフは慌ててあとを追った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加