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「こんにちわ、初めまして、ミサキと申します。この度は御指名頂き誠に有難う御座います。今日はどうぞ宜しくお願いいたします」  ミサキは七重の膝を八重に折るといった風に慎ましやかな折り目正しいお辞儀で挨拶を終えた。  実に礼儀作法を弁えた子だ・・・と俺は何しろ感心して、その慈愛に満ちた柔和な笑顔に癒され、緊張が解きほぐされ、「こんにちわ」と我知らず笑顔で挨拶して、「あの、むさくるしい所ですが、どうぞ入って下さい」と言いながら、「お邪魔いたします」と淑やかに答えるミサキを玄関に通した、その途端、含羞の塊となった。いざ招いてみると、とてもこんな美しい女を招き入れるべき所じゃないと思ったのだ。
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