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「はあ、快適ですか?」と俺が聊か怪訝そうに聞くと、「ええ」とミサキは答えた後、辺りを見回しながらこう言った。
「こざっぱりした好いお部屋ですこと」
確かに綺麗に掃除してあり整理整頓が行き届いた部屋ではあるが、俺にはその明治大正昭和初期頃の貴婦人みた様な高雅な言い回しが却って慇懃無礼に思えて皮肉の様にも嫌味の様にも受け取れて憤慨した気持ちを抑え切れず突っ慳貪に言った。
「こざっぱりですか、言われてみれば、飾り気が全く有りません」
「いえ、そんな風にお取りになって貰っては困りますわ。私はお褒めしたのですもの」
真意は兎も角、姿も綺麗なら言葉遣いも綺麗だ!全く今時珍しい女だ!と俺はここに於いて大いに感心し、「ああ、そうですか、何とも恐縮です」
「ふふふ、何も恐縮なさらなくても・・・」
「いや、どうしたって恐縮しますよ。何せ、あなたが眉目秀麗にして清楚、あんまりお美しいものですから・・・」
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