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何て返事を返そうか迷った挙句,私は音声通話のマークをタップしていた。
『……はい』
「あっ,もしもし。ゴメンね,家族サービス中に。――今大丈夫?話しても」
まさか出てくれるとは思わなかった。私も自ずと,彼に気を遣ったような口調になる。近くに奥さんがいると分かってて,普通に話せるほど私は厚かましい女じゃない。
『うん,大丈夫だ。千嘉は今,樹をトイレに連れていってるから。――それよりどした?珍しいじゃん,君が音声通話なんて』
「弘人さんから,『友梨の声が聞きたい』ってメッセージが来たから」
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