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私は彼の家庭を壊すつもりなんて毛頭ないし,そもそもとっくに壊れているし。ただ,好きになった人が妻帯者だっただけだ。
私が松丸商事に入社した三年前には,彼は既に結婚していて,左手の薬指にはプラチナの指輪が光っていた。私は優しい上司である彼のことが気になってはいたものの,それが恋心なのかどうかは微妙だった。
私と彼――井原弘人との関係が劇的に変わったのは,半年前の秋のある日。
退社する同じ部署の先輩の送別会で,お酒に弱い私は酔い潰れてしまった。弘人さんは,親切心から私をこの部屋に送り届けてくれて,成り行きで私と関係を持ってしまったのだ。
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