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「――ゴメン,橋元さん」
初めてこの部屋での事が済んだ後,井原さんは私に謝った。家庭持ちの身でありながら,部下の私に手を出したことを後悔しているようだった。
「気にしないで下さい。初めてってわけじゃないし,私,井原課長のことが好きなんです。元はといえば,私が酔いに任せて誘惑したようなものだし」
誘惑というか,酔い潰れて無防備になっていただけなんだけれど。
「いや……。実はウチの夫婦関係は既に冷えきっててね,息子の樹が生まれてからは,全く妻に手を触れてないんだ。だから抑えが利かなかったというか。橋元さんには今日,久々に癒されたよ」
妻子持ちに身を任せた罪悪感は,その一言で簡単に消えてしまった。
「……じゃあ,これからも,私との関係続けていきますか?週末だけでもいい。私が井原さんの癒しになってあげます」
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