道ならぬ恋……

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道ならぬ恋……

――彼に抱かれたあと,まだ熱を()びている体をベッドに横たえていると,彼は帰り支度(じたく)をしていた。 「今日は泊まっていかないの?弘人(ひろと)さん」 「ああ,今日は帰るよ。明日は(たつき)の誕生日だから,遊んでやる約束をしてるんだ」 彼――井原(いはら)弘人は,日曜日で会社が休みの明日,家族サービスをするつもりらしい。毎週末,こうして私の部屋に泊まっていくことへの罪滅(つみほろ)ぼしだろうか。 私・橋元(はしもと)友梨(ゆり)は,この井原弘人と半年前から交際している。二十六(さい)の私と七歳年上の彼は,同じ会社の上司と部下。 そして,彼には家庭がある。政略結婚した常務の令嬢で奥様の千嘉(ちか)さんと,息子の樹君。 ――そう。私と彼とは,人に言えない関係なのだ。
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