31人が本棚に入れています
本棚に追加
道ならぬ恋……
――彼に抱かれたあと,まだ熱を帯びている体をベッドに横たえていると,彼は帰り支度をしていた。
「今日は泊まっていかないの?弘人さん」
「ああ,今日は帰るよ。明日は樹の誕生日だから,遊んでやる約束をしてるんだ」
彼――井原弘人は,日曜日で会社が休みの明日,家族サービスをするつもりらしい。毎週末,こうして私の部屋に泊まっていくことへの罪滅ぼしだろうか。
私・橋元友梨は,この井原弘人と半年前から交際している。二十六歳の私と七歳年上の彼は,同じ会社の上司と部下。
そして,彼には家庭がある。政略結婚した常務の令嬢で奥様の千嘉さんと,息子の樹君。
――そう。私と彼とは,人に言えない関係なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!