プロローグ

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プロローグ

 いつからだっただろうか。人に怯えて、目を合わせなくなったのは。いつも体を縮め、地面ばかりを見ていた。  わたしの心の中は、この数年は曇り空のち雨空だ。原因はイジメだ。それが始まったのは、中学二年の五月からだ。もともと控え目で自分に自信のない性格のわたしは友達を作るのが苦手で、クラスでは所謂「ぼっち」と呼ばれるものであった。それがきっかけで上位層のグループに目を付けられ、イジメが始まった。最初は教科書やノートに『根暗』や『ぼち子』とか『学校に来るな』などの落書き程度だったが、カバンを隠されたり、次第に無理やり脱がされ下着姿の写真を撮られたりもした。わたしは部屋に引き籠るようになった。両親は心配して声を掛けてくれるが、わたしはそれに答える事はできなかった。恐くて辛くて、両親にも厚い壁を作った。  
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