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「はぁい。もしもし~」
【もしもし…私…】
「今どこ? 今どこ? もしかしてもう家の前まで来た?」
【ええ、今…貴方の家の前にいます】
「行くよ、今行くよ~!」
男は喜び勇んで駆け出した。
男はスマートフォンを握りしめたまま、ドアの前に立った。その目をきらきらと光らせながら、急に身だしなみのチェックを行っている。
まさに準備万端という様子。彼は小声でささやいた。
「このままドアを開いちゃおうかな。いや、でもそれは無粋だよな。最後には後ろからだ~れだ♪ ってするのがメリーちゅわんだし!
ここは、最後の愛の電話を受けるまで男として…いや、でも遅くない? 怪談には自宅をそのまま通り過ぎるってオチもあるからな…うーんどうしよう」
どうやら男はここにきて迷い始めたようだ。じっと考え、そわそわと手を動かしたとき、スマートフォンが振動した。
その画面には【愛しの嫁、ボクだけのメリー】と書かれている。
「はいメリーちゅわんね。ボクの後ろにいるんでしょ?」
【ええ、そのまま振り返ってください】
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