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男は勢いよく振り返った。
そこは何の変哲もない彼の自宅の廊下が広がるばかり。その中年男はがっかりした様子で家の中を見渡していた。
「え? 何もいないじゃん…これ、ただのイタ電?」
彼の目には無造作に置かれた封筒の山が映った。
訝しい顔のままその手を伸ばすと、それは日本年金機構と書かれた封筒やガス代電気代などの請求書などが次々と姿を見せる。
「え…これって…?」
スマートフォンは再び振動した。
「は、はい…」
【××クレジットです。○○さんのお電話番号でお間違いないでしょうか?】
「ち、違いまーす!」
彼はそう言いながら電話を切った。しかし、次の瞬間には固定電話がベルを鳴らし、彼のスマートフォンも別の番号を映し出した。
「ま、まさか…待って…これは何の冗談だ…」
ドアが叩かれる音が響いた。
「○○さん、笑顔と信頼の△△ファンドでーす!」
「いるんでしょ、○○さん…わかっていますからね!!」
間もなく、男は絶叫した。
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