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その後…
数日後の成田空港に、前髪を垂らした女性、のっぺらぼうの姿があった。隣には旅支度を整えたメリーがキャリーケースを持って立っている。
「あの男の見たくないものは他ならぬ現実だった…というわけね」
「はい。だから彼らを呼びました。ですがあそこまで追いつめられるなんて…私もまだまだです」
間もなくアナウンスが響いた。
「じゃあ、頑張ってきてね」
「またお会いしましょう」
彼らは手を振って別れ、メリーは深センへ、のっぺらぼうは都内へと戻っていく。
のっぺらぼうはふと立ち止まると囁いた。
「でも、よく考えてみたら彼女…どうやってチケットを取ったのかしら?」
その直後に制服姿の男性がスマートフォンをとった。
「む…またか」
「どうしました、機長?」
「また、いたずら電話のようだ」
「無視するに限りますね」
彼らこそが、次の深セン直通便の機長と副機長。2人とも後ろにメリーがついてきていることには気づいていないようだ。
「なるほど。メリーは最後のひとことを言わない限り、人間に認識されることはないもんね」
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