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前髪を垂らした女性は心配そうに言った。
「でも、大丈夫なの…中国語は?」
「はい、一応…少しなら習いましたし、今は翻訳する…」
そうメリーが言いかけたとき、彼女の携帯電話が振動した。
前髪を垂らした女性は「妖怪仲間かしら?」と囁いた。実際に妖怪の中には現代人のように端末を使いこなすものが何人もいる。
メリーは恐る恐るという様子で手を伸ばした。よく見ればその表情は強張っているように見える。
「も、もしもし…」
前髪を垂らした女性は少し身を乗り出したが、やがて耳に手を当てた。その受話器から妙な音が聞こえたからだろう。
「めぇ、メリーちゅわん…コフーコフー」
「いや!」
メリーは険しい表情のまま携帯電話を切った。前髪を垂らした女性はきょとんとした様子で彼女を眺めている。
「どうしたの?」
「ま、またあいつから…電話が…!」
「え?」
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